演劇ユニットmoke 「葉桜/屋上庭園」

岸田國士という「珠玉」の連なり。

 そういえば、演出者協会の総会にご挨拶がてら顔を出そう、ということがあって、
その前の週にある鹿児島演劇見本市に行くことができなくなった。
非常口「四畳半の翅音」で伊佐に行って、帰りは鹿児島市内経由で
福岡に向かって以来の鹿児島です。

 これまた久しぶりにドーミーインに入って、パソコン立ち上げて
お風呂やご飯の前に「天誅」の最終回をだらだらと見て、初動が遅くなって
鹿児島屋台村をいくらかハシゴする。
・・・いや、まあ、芋焼酎本物は旨いわ。
そしてツマミも旨い、気がつけば焼酎グラスが手元に。

 翌朝、ものすごく心配したが、変に残ることなく
朝ごはんを食べ、外に出て、まずはハコ探し。
お金おろして見つけて、吹上庵でそば食べて、天文館をウロウロする。

 さて、時間になったのでハコへそろそろと参ろうか。
なかなか風情のある場所にぽつんとくまのぬいぐるみが。
そして客入れ音にかぶさるように本水の音がうすーく、うすーく流れているようだ。
空間を総合して見ると、あらゆる意味で、「お洒落な」作りになっている。
「お洒落な」作りだから大正、昭和初期あたりの空気感を持つ岸田戯曲を
現在、平成の世に「寸法を直した」趣。

 そういうことをつらつらと考えていたらもう本編だ。

【葉桜】

 実は、この公演のスカウティングが終わって、そのまま直に北芸「劇トツ20分」へ
向かうことにしていたら、大切な人が月に一度のデート日程を設定してきた。
・・・仕方ないから元々の前泊日程をキャンセルしてあれこれ思案していたら、
数日後、突然用事が、とか言われて、ぶっ飛んだ。
まあ、そっちのほうがええ塩梅で日程やら何やらが整った分良かった・・・のか?

 そんな空気と、庭先、あるいは縁側で母と娘の会話が。
ふむふむ、なんかお見合いがあって、乗り気なのか、どうなのか、両家足並み揃わず。
男は男で、女に対してなんだかツンデレかましている、というか
あまりにもシニカルがひどく出ていて、女はそれを不安に思っている。

 この「疑心暗鬼が止まらない」状態が重ねに重なって、
正直わたしを「なくしている」。

・・・どうして、わたしは、わたしをなくしているのだろうか?
物語はその「なぜ」を解き明かすように練り上げられていることが
じわじわとわかるように出来ている。

 まず、「好き」なのか「嫌い」なのかはっきりしていない。
・・・仕方ない、それが「お見合い」というものだから。
「信じあっていれば、大丈夫」とはいうが、
若いので何をどう信じればいいかわからない。
ついでに、「わたしには何もできない」、まで
くっついてしまっているから余計にややこしい。

 もしかしたら、「本当の気持ち」に触れることが、
少し怖いのかもしれない。
でも、触れなければ前にも、うしろにも進めない。
進むために、「むかしのわたし」と「いまのわたし」を対面させて、
「これからのわたし」を見つける、というか作っていくのだろう。

 てか、父親を突然なくしたことに始まる、
「身の回りのあらゆることが急に動き出した戸惑い」とはこういうことなのか。
何時の世も、物事が動くときは動くし、止まるときは止まる。
そういうことなのよ。

 さらに言えば、物語を追えば追うほど、「葉桜」という題名の意味が
「満開の桜」を「女の盛り」とすれば、「美しさ」という「花」が散り、
「地味」な葉っぱが茂った「その後」をどう生きようか、というふうに取れてしまう。

・・・ほんと、正念場、だな。

【屋上庭園】

 「死に活路を求める」、ですか。
あるデパートの屋上庭園に二組の夫婦がいる。
人生という波をうまく乗り切っている男と乗り切っていない男。
言葉の置き方や立って、居て、振る舞う様子が見事に違う。
ある意味、「自由」というものを手に入れるとお金に困るし、
お金に困らなくなると今度は「自由」がどこかで制限される。

 なんというか、そこはかとなく重たい、重たすぎる空気が。
その空気を背負って、生きていると傍目から見ればしんどく見えるよね。
しんどいから人の好意を素直に受け取れないし、下手なプライドだけが
増幅して、生きれば生きるほど辛く、苦しくなってしまう。
・・・その行き着く先が「死ぬこと」なのかもしれない。

 「死ぬこと」もできず、ましてやあらゆる意味で「やせ我慢」や
「妥協」もできず、そんなどうしょうもない男を心から支える。
・・・これが「糟糠の妻」というものなのか。

 とにかく、無条件の愛があるから「信じる」ことができる、
「無理だけはしないでね」と心からの言葉を掛け、
曲げないで、けれども、奮起して、と言われたら
まじでやばい、心に刺さってしまう。
これで人生立て直すことができなければ、
男じゃない、本当に死ぬしか道ないよな。

 いろいろ縁あって、岸田國士戯曲を見る機会ができた。
これら戯曲作品群を追って見れば見るほど、
「恋愛」ってなんなんだ、「結婚」ってなんなんだ、「夫婦」ってなんなんだ、という
共通した「テーマ」をもって、それぞれがひと繋がりになっている。

 だからこそ現代の空気とも親和性が高いのか、という発見。
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