劇団tempa 「ダブリンの鐘つきカビ人間」

「欲」と「嘘」はいつも仲良し。

 そういえば、前の年、ここが大きいところに進出した時に、
どうして行かなかった、あるいは行けなかった、のか。
どんな出来事が起こって、どう生きてきたのか、訳がわからない。

 この演目を含んだ「G2プロジェクト」は大分日田の劇団ソングライン
というところが半ば得意、というか、毎年一回、「ひた演劇祭」で
このシリーズを「持ち演目」として何かしらやっている。

 ひた演劇祭は、その他にも「招聘カンパニー」が最新鋭の「身体言語」を
福岡よりも早く、枝光よりもやや早くのタイミングで見せてくれる。
ここがいちばん凄いところなのだが、厄介な、あまりにも厄介な人と
一日中同じ場所で、同じ空気を吸うことで心を壊してしまう。

 故に、程よいタイミングで日田から福岡へ帰るため、
ソングラインに行くことができない、それはそれで残念だ。

 G2プロジェクト自体もわたしが演劇を始めた頃、西鉄ホールより
タダ券貰って「キャンデーズ」という「石けん工場」と「ラジオ」を
めぐる甘くて、切ない「おとなのメルヘン、もしくはフアンタジー」と
いう演目以外全く見ていない。

 ・・・須藤理彩の「ガタイの良さ」に驚いた、女優という商売は
あれだけ「強いからだ」を持たなければたたかえないのか。
ファッション誌に出てくるような華奢では止まる演技はできても
板の上で、あるいはカメラの前で「他者の目」がたくさんある場所
だったら何もできない、させてもらえないよな、という発見を
したことが思い出話。

 うーん、15時半開始で途中休憩がどこに入るかわからないが
終演は18時過ぎ、なんだかんだしていたら19時10分発の
福岡行き最終の高速バスに間に合わない。
その旨、挨拶がてらおちさんに聴いてみると、大丈夫、という。
「間に合う」というならば、信じるしかない、と腹をくくる。

 腹をくくる、あらゆる感覚を板の上に落とし込む、
そのための準備をやっていると、なんだかなぁ(以下略。
いつものtempaはそう言うのなかったし、この部分だけが
tempaではなく、G2プロジェクト、あるいは商業演劇だった。
・・・大概行儀の良くないわたしが言う義理ではないが。

 不思議な違和感を感じながら本編に入る。

 前半部、G2って、「中性的な要素」を持っていたのか、
物語が「男性性」と「女性性」が曖昧なまま存在していて
時と場合によって「男性性」と「女性性」のどちらかが
寄せては返す強弱具合で板の上に現れている。

 どうも、お話のベースは「ノートルダムのせむし男」だな。
「ノートルダムのせむし男」は「先天的奇形」だったのだが、
「ダブリンの鐘つきカビ人間」は原因不明の「病気」による
「後天的奇形」によって起こった不都合、それだけの違い。

 違いそれぞれを見つめるおちさんの「女性的な要素と視点」が
うまく絡んで「違い」から派生する「差別と嘘」というものを
くっきり、はっきりと見せていくのが前半部の肝。
この肝に現代から「迷い込んだ」、「男と女」がドラゴンクエストを
はじめとしたRPGというものをプレイする、それを見る、という趣。

 後半部は「後天的奇形」によって「正直者」になった
「大嘘憑き」と「後天的奇形」によって「大嘘憑き」になった
「正直者」による「不器用」だけれど、「本当の恋」という
物語の肝があって、肝の周囲に「欲」と「うそ」という
「人間の原罪」というものがグルグルと絡みつく「気持ち悪さ」、
その気持ち悪さを断ち切る、というRPGを「プレイ」する感覚、
その「プレイ」というものを見手は客席の方で見ている。

 「欲」と「嘘」はいつも仲良しでこの仲良しぶりが
「世界」をある方向(善悪はここでは問えない)へと連れて行き、
退っ引きならない事態へと気がつけば連れて行かれる。
こんな事態をご破算にし、すべてを中和する塩梅は
梨木香歩の「裏庭」のように「生と死」の両方を抱き寄せて高みに
ひっぱりあげて、「喜捨」という形で見せた。

 さらには最後のオチとして聖書の裏読みを持ってくるなんて。
というか、聖書というものは肝腎なことが全く書かれていない、
てなことに今更ながら気がついた。
もしかしたら「この世」と「あの世」では「善悪の観念」は
結構倒錯していて、「あの世」での「善悪の観念」を宗教として
教えられていたのかもしれない。

 このことは今まで「どうだろう」という「認識レベル」だった
けれども、これを見ることで「そうなんだよなぁ」という
「認識レベル」にまで上がってきた。

 だからこそあの「市長」は「嘘」をついて皆を「扇動した」罰、
として「この世での永遠の命」を得た、と「死」という形で
「あの世」に行きたくても、死ぬことすら許されない、
「魔法の剣の奇跡」だって「私利私欲なく使用する」ことが条件な
ものだから起こりようがない、ひたすらに罪もないものを殺して
殺して、それでも自分「だけ」生き続ける、これこそ惨めで酷い罰はないな。
ということを強く感じることができた見後感。
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