香川文化芸術フェスティバル(カブフェス)

直島の指輪ホテルのリベンジ、果たした。

 ・・・あれからもう一年過ぎたのか、というくらいものすごかった。
去年はものごっつい台風の中、日田で快快、移動して大阪、
翌日は中崎町でiakuの「人の気も知らないで」、上演途中から
雨がシトシトどころかドバドバ降っている、その様がきっついセリフと
重なって、果たしてたどり着けるかな、どのタイミングで断念するのかな、
なんてことを思いつつ、とにかく新大阪、新幹線で岡山、瀬戸大橋線で
坂出、そして高松と道を急ぐ、そして直島行きの船乗り場につき、
「天候調査中」の案内を見て、ある、ということを信じて船に乗る。

 直島につくとまあ、あるんじゃないのかなという空の塩梅。
場所にたどり着いて、ご飯食べて、雑談しながら待っていると
空がなにか不穏だ、一点俄にかき曇り、風が轟々吹き始め、
気がつけば稲妻ピカピカ雨はドサドサ、開演、じゃなく、
開場10分前に中止が決まって、払い戻して、港の船のりばに
帰りの船の手配と避難のために戻る。
・・・それから船着場近くをウロウロできるまで雨がやんだので
散歩しながら来し方行く末を考え込んでいる。

 ・・・何かが終わって、何かが始まった。
「始まり」というものはとてもとても大変で、わたしを巡る状況が
恐ろしいほど変化しすぎていて、いままで「居心地」の良かったところ
が徐々に「居心地」の悪さ、というものを感じ、新しくやることやものが
続々とやってきて、これらをどうハンドリングするか、
いままでの範疇を超えている。 

 いままでのハンドリングすることの範疇を超えている、
「お金」の面がものすごく窮屈になって、正直やばい。
こんなことを抱えつつ、解決の糸口を掴みつつ、新田原から
小倉、小倉のネットカフェで高松行きのバスを待ち、
バスに乗ってまんじりとしない夜を過ごしたらもう高松。
降りて、駅近くのうどん屋で飯を食うが、七味唐辛子の瓶に
ウジ虫が湧くわ、なんだかんだで(以下略。
風呂を探すのにもしくじって、玉藻公園の中にあるハコに向かう。

 昔ながらのお屋敷、というかどう表現したらいいかわからないが
とにかく、居心地がいい、木と畳、そしてみどりの庭、たまに潮風。
なんか、落ち着いた感じでひと通り場所を見て回るが、
午前中はシアターホリックの連続ドラマ風演劇を見ることにする。

 最初は、いわゆる「ホームドラマ」をえげつなく見せる、
それも物語の「断片」を「同時多発的」に起こして、ある部分は
見手が「選んで」見る、という形がすごく斬新。

 ・・・不倫というのか、なんていうのか、尋常じゃないものを
そうでないように見せるのは、正直、技量が必要だ。
「全て」が終わったあとの嫌な感覚を先に見せて、
「なぜ、そうなったのか」を逆追いで見せると、
潰れそうな居酒屋があるお客がうっかり落とした100万円を
店の人がネコババしたことから起こる「良心とのせめぎあい」。

 「良心」というものが「崩れて」、ネグレクトやら殺人にまで
発展する様子を「あるところ」から「聞いた、見た」というように
「断片」をまとめて、ひとつの物語にする。
・・・これ、池波正太郎の「鬼平犯科帳」あたりに出てきそうな
エピソードの「裏設定」にフォーカスを当てるとこうなるのか。

 「一杯」を重ねるとそれは、罪に罪を重ねてしまうこととおんなじだ。
そうなってしまうと人はとんでもないところに行ってしまう。
「一杯の半分」で収める、それがひとつの「決まり」だったの
かもしれない。

 シアホリを見終わったらちょうどいい塩梅でお昼。
いい隙間なのでまずは宿に大きい荷物を入れる。
えっ、明日からで宿の予約を入れていた、マジすか。
まあ、空室大いにあり、だったからよかったけれど。

 荷物を入れてまたハコに戻って今度はマエカブ二本立て。
まずは「きのこの山」、昔の「ムラ」というものはいかに
「閉ざされた」空間で、「閉ざされた知」というものの
「集合体」だった、この「集合体」の象徴するものが
「きのこ」≒「申神」様の肉であり、それを受け入れて、
初めて「外」の人間は「集合体」の「中」に入ることを許される。

 しかし、「集合体」を無意識のうちに壊そうとする
存在がうっかり入ってきたら「集合体」は全体で「奪い」にかかる。
そして殺して、「集合体」の「閉鎖性」を保とうとする。
そういう風に煽って、煽って、ふすまのところに目線をやると、
・・・また、新たな犠牲者がそこにいた。
うーん、山下和美の「ふんわり」とした「怪談話」を
演劇に起こすとこうなるのか。

 「人でなしの恋」は一転してすごくおどろおどろしい世界、
「極彩色」とはこのことか、演目から演目への「場面転換」すらも
ひとつの「演劇」なのか、というところまで見せてくれる。
明治大正ロマンにまわりで聞こえる他演目の音、いろいろな音が
響き合っている、「疑心暗鬼」というものと。

 にしても、金持ちって何考えているのか、よくわからない。
体面を保つための「本妻」のほかにもう一人「美人」、それも
「毒」のある美しさを持った、そういう女を「飼って」いた。
・・・普通の女だったら、これ、耐えられないよな。
耐えるか、耐えられないのか、ぎりぎりのチラリズムから
薄皮一枚を引剥がしてみたら、より耽美的な、おどろおどろしい世界が。
・・・人間の剥製、もしかして殺したのか、死んだのか。
江戸川乱歩の「因業」ってまじ半端ないわ。

 さて、また宿に戻って、部屋に入り、お風呂までは無理だったか。
ハコに戻って、tempaのところに早く入って、外の庭をゆっくり眺める。
木々の緑、おひさま、海風、そういうものにあたってボーっとしてたら
治らないものも治るかも知れない。

 そんなことを考えていると、唐突に物語が動き出す。
姉、妹の「関係性」をめぐるお話、状況は母の一周忌法要。
おみやげの「甘納豆」を食べていると「母が倒れてから」
止まっていた時間がソロリソロリと動き始める。

 というか、広島というところは案外広い。
ちょっとなんかあった、としても頻繁に行くことが難しい。
この「行けそうで行けない距離感」がお互いの「隠していたこと」を
じわりじわりと明らかにしていく、妹は妹で喘息という持病が
ひどくなって大学を一年休学したり、姉は姉で「心を亡くす」ように
仕事に没頭していたり、色んな意味で大変だ。
・・・切ねぇ時間を一気に詰めていく、というのはとてつもなくしんどい。

 さて、次は兄、弟の「関係性」をめぐるお話だ。
やっぱり、男には「秘密」というやつが仰山あるなぁ。
「あの時」にかかっていた「あの音」がすごく気になり、
未だ探せずにいる。
 
 ロックな兄、真面目な弟。
帰りたい、帰りたくない、帰れない、興味がある、興味が無い。
いろいろな壁というか、距離が果てしなく遠い。
いろんな恋や愛があって、生きるということはやり直しが効かない。

 ・・・気がつけば、兄は事故で死んでいて、この世の人ではなかった。
弟は兄の無念を背負って生きていくのか。
時期的なものもあるのだろうが、「生」と「死」が隣り合うことは切ない。

 一息ついてから長台詞屋。
・・・前の日に戯曲を演者がもらい、当日夕方までじっくり稽古。
空間をシンプルに削れば削るほど、演者の素材、
演者がからだで「鳴らしている」音の質が問われる
作りにまで仕上げている。

 この「作劇」を古くからある「屋敷」というか
「家」がしっかり受け止めて、「一人芝居」ではない、
なんか「新しいジャンル」が生まれた感がする。

 基本形は昔からある家と平屋の文化住宅をめぐるお話。
その家に住んでいた母と息子と娘、それぞれが抱える
物質的、性的なコンプレックスから「死は平等にやってくる」と
いうお話を「リレー」という形で丁寧につないでいる。

 で、そのまますんなり繋がるか、と思わせて
この「家」の近くにある「高層住宅」へ「高さ」でつなげ、
さいごの「家族を持つ」ということに対する
「希望」と「不安」という形にうまくつなげた。

 ひとつの繋がったお話でも通用するし、一つ一つをばらして
ブラッシュアップすることができたらINDEPENDENTに参戦できそうだし
様々な可能性を「作る」ことができた、とはこのことか。

 さて、ハムプロジェクトの準備がほぼ出来たんで中に入るか。
そして、天野っちとしばし雑談、いろいろ溜まりに溜まったことを
ぽつりぽつりと話して、さあ本編。

 初めてハムプロジェクトを見た時は、ちょうど「放生会」が終わって
間もない筥崎宮の裏にあるイベントスペース、ちょうど「見世物小屋」の
「密室感」と「空気感」、故に悲しさや寂しさが満ちていた。

 数年が、久しぶりに同じ演目を見ていたら心持ち広いし、
窓があるから恐ろしく風通しがいい、故におどろおどろしい
「見世物小屋」独特の感じがない。
けれども、そうでないからわたしたちに「外界」と「内界」というものを
強く意識する、というかするりとわたしの中に入ってくる、何かが。

 こういう状況で「精神障害」や「知的障害」、さらには「発達障害」を
抱えている存在が「居場所」を探そうとするが「異質」ということで
「排除」されていく、ここに「サンタウィルス」という「細菌兵器」で
隔離された「差別民」というふたつの「哀しみ」を「悲しい」
そのままではなく「突き抜けた明るさ」と「日体大のエッサッサ」を
うまく使ってひとつの「文学作品」にまで仕上げてきやがった。

 バラシに入り、改めて、わたしはこうして沢山の人をつないできたのか、
この繋がりを見て、なんだか不思議な気持ちになる、うん。
たくさんのことがあって、当分は演劇に戻りにくい状況になりそうだ。
けれども戻ってくる、必ず。
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