万能グローブ ガラパゴスダイナモス 「ボスがイエスマン」

「蟻地獄」から。

 イムズホールでの「星降る夜になったら」を見て以来、
わたしの眼の前に「変化」というものがじわりじわりとやってきた。

 父がどこか「遠いところ」に行ったひと通りの出来事が
その後に「ナイスコントロール」で不思議な感覚を伴って重なる。
・・・というか、INDEPENDENT:FUKでのしいきっつあんが
演った「ヴァニシング・ポイント」そのものがあの父の「半年」と
重なってくる、とても、とても考えさせられる。

 演劇の仕事でも、「厄介な方々」がより福岡の演劇業界に
「戦争」を仕掛けてくるから、こりっちに今まで書いたレポートを
全部消去して、自分のメディアを立ち上げて、演出者協会の
ドイツ演劇特集、ブレーンストーミングでいろいろな発見をし、
それに伴い、わたしの新しい立ち位置が少しづつ固まりつつある。

 固まってくると、今まで通ってきた芸工大講座から
派生してきた「舞台作品を作る」プロジェクトに参加したり、
城崎温泉劇作家大会でウンウンいいながら平田オリザ氏に
食らいついて、「納得して動ける言葉」を作ったり、
その縁で劇作家協会に参加した。

 そういう風にバランスを崩したことが多々あって、
ハンバーグ工場の仕事で人間関係が元の疲弊感を強く感じ、
この疲弊感を消すために正直、演劇と、お酒に逃げた。
結果、金銭面の問題やら何やらを抱えてしまい、
気がつけば精も根も尽き果てる。

 その前に「馬鹿野郎、そこは掘るな」の見学のち、
なんだか、自分に自分で無性に腹が立っていた。
・・・何やっているんだ、俺。

 というわけで8月末から9月末までハンバーグ工場の仕事を休んで
金銭面の問題や精も根も尽き果てたことを解決するため、
色んな所を駆けずり回りながら休み、10月から11月半ばまで
もう一度手元に集中できるための訓練をずっとしてから、
そして、またいつもの日常が帰ってきた。

 さて、初演はぽんプラザホールの客席、
一番後ろがバルコニーになっている、という「特殊」な形を活かすため
いつもの「表演部分」を客席にして、六本松にかつてあった
「九大小劇場」のような客席の勾配を甘めにして、
奥行きで「見せる」、客席部分に表演部分を
仮設して、何かの「ファクトリー」の持つ空気を持つ作りになっていた。

 今回の再演はまどかぴあ大ホールのステージ上小劇場。
初演時よりも客席の角度、甘くない。
そして、ファクトリーというか、アトリエをいちから作っているので
椅子とか、テーブルとか、楽器の配置、壁の所々に
貼ってあるポスターや「お絵描き」、床の塗料汚れ、
エンタメがところどころに溢れるものごっつい空間。

 さらに、すり鉢状の底から「覗きこんで」見たら絶妙な位置に
クリスマスツリーが飾ってあり、絶妙な光の塩梅。
この塩梅具合が「現状、光が当たらない、当たっていない、
けれども、何時かは、光の当たる場所にたどり着き、
自らがまわりを照らすほどの光になりたい」という強い思いが
この角度から見えてくる。

 いろんなことを考えていたらもう本編だ。

 このお話の基本線はとある「芸能事務所」のいわゆる
「落ちこぼれ組」と言っていいか、言葉に悩むけれど、
この事務所で「居場所」をなくした面子が大切にしてくれている
マネージャーを頼って「別の居場所」を作るため「独立」をした。

 けれども、待てど暮らせど肝腎のマネージャーが来ない。
「来ない」苛立ちと「このままで大丈夫だろうか」、
「これから大丈夫なのだろうか」という不安が重なって
ただでさえ「密室」な空間がより「密室」となるある意味コメディ。

 コメディと見せかけて、実は結構深い「人生」の考察になっている。
タレントさんに限らず、「プロフェッショナル」という
「人様に何かをして、お金をもらう仕事」をする世界は、
「わたし」という「なまえ」が「パブリックではない」状態は
「一山いくら」という扱いしかしてもらえない。

 基本的にこういう「一山いくら」扱いは人間的にも、
金銭的にも恐ろしく辛く、しんどい。

 こういう時は「もしかしたらわたしには才能がないのかもしれない」と
思い込んでしまい、次は、「才能のある人に憧れ、嫉妬して、憎悪を抱く」と
いう状態まで感情がエスカレートしつつ、もがいてじたばたして、
それでも前に進まない。

 なぜだろう?というぐるぐるまわりになってしまう。

 事実、自分も演劇から改めて人生を始める前、そうだった。

 福岡舞台計画でとびうめ国文祭での公演をやりこなして、
「あなたは演劇という場所に居ていいんだよ」と言われて、
北芸の関連事業に参加して、選考会落ちまくって、
その途中に熊本DRINKで「戯曲を読む」ことを教えてもらい、
熊本で演劇の勉強を始め、平行して人生を再編成し、
こりっちにスカウティングレポートを入れることをやり、
最初のGKK後にハンバーグ工場の仕事を始め、
次のGKK終わって、わたしの「なまえ」が「パブリック」になった。
・・・気がつけば、そういうぐるぐるまわりから抜けだしていた。

 このひととおりの流れを体験した、というか、実感した。

 うん、頑張っても、頑張ってもうまくいかない、
あるところから「差」を付けられてしまったことに対して
ものすごく苛立ってどうしようもない、思いを抱える、ということは
何か、私に「穴」というか「至らないところ」があるんだよな。

 この「穴」というか「至らないところ」というものは自身には
「見えていない」、けれども「他者」には丸見えでこの落差が
「自分で自分の居場所をなくす」ということにつながっている。

 ある人は体の準備ができなかったから得意のアクション中
不注意で自らの膝を壊し、また別の人は「情報」というものを
きちんと分けないから「秘密」を「秘密」にできなかった。
そして、「過去」というものにしがみつき、「過去」というものを
重荷にしてしまう、微妙に軟弱なものもいれば、
「素直さ」をなくして意固地になっている人も居る。

 初演は売れっ子の美人モデルが中盤から「女王様」のように
振る舞い、「穴」と「至らないところ」をこれでもか、これでもか、と
突っついて、突っついて、反発心を増幅させたところで
ドアノブが壊れ、「完全な密室」となる。
そして、元いた事務所に「電話」をするためにこの密室という
「蟻地獄」をでなければいけない、という「課題トレーニング」を
やりぬくことで何かが変わる、というところにまで持ってきた。

 再演も、客演に呼んだのがデルモーズのはりー。
まあ、リアルのモデルさんだし、こら、エゲツねぇくらいに
「女王様」やって、振り回していくのかな、と思ったら
・・・いい意味で裏切られた。

 はりーという「美人」を「落ちこぼれ組」のポジションにおいて、
こぱるという「美人」、だけれども
「技量を頼りに修羅場をくぐり抜けた美人」を
「女王様」のポジションにおいた。
この「化学反応」がえげつないくらい凄い。
・・・バチバチぶつかるところはリアルに「ファースト・クラス」という
あのドラマそのもの、というか「陰の声」なしのガチでいっちゃっている。

 このガチ具合がみんなの「穴」と「至らないところ」を
グイグイ引っ張り出していき、「他力本願で這い上がる」だった
今までから「自分で何とかして這い上がりたい」という覚悟を
共有するところまで持って行きやがる。

 覚悟を共有する中で「女王様」はひとりぽつんとそこに居る。
「女王様」はどうやっても「女王様」、ほっといても光輝き、
たくさんのお金を色々なところにもたらしてくる。

 がだ、いずれはその光は消えてしまう。
消えてしまうことが怖くて気がつけば「会議室」という場所で
彼女のあずかり知らないところで「彼女の人生」が決まって、
その決められた人生を「生かされる」現実がそこに在った。
・・・その現実には彼女ひとりしかいない、まわりの覚悟すら
共有することすら許されない。

 人間、この現実が一番辛いのだ。
だから、「女王様」も最後の最後にまわりの覚悟を受け取って
蟻地獄を這い出て、事務所に毒を吐いて仲間に入る。

 こうして、わたしもあなたもこの蟻地獄を這い出て
あるレベルのとある場所、というか修羅場を
通りぬけてきたのだろう。
そして、今は通り抜けていた場所や修羅場よりも
より高い難度や険しさをもったとある場所や修羅場を
通り抜けているところなのだろう。

 そうだとしたら、あの言葉は云うものではない。
「掴んだようやね」と「上から言葉」をわたしが吐くなんて
ほんとヤキが回った、というか、おまえ、何様やねん、と
自分で自分に怒っている。
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