「演劇・時空の旅」シリーズ#7 1953年/フランス「ゴドーを待ちながら」

ものごっつい中味の「お手紙」を頂いた。

 最近の「演劇・時空の旅」シリーズは四面囲み座席や二面囲み座席、
オクタゴン形式などとある意味、「凝りに凝った」空間創りをしていた。

 今回はどうなるのだろう、と思って宮崎に向かうと
久しぶりにガチのシアター形式で「演劇の空間」を作っている。

 荒涼たる空間にこれまた唐突な形で「演芸場」というものが
立ち上がり、その裏の控えでいつ来るかわからない「出番」を待つ
芸人、というものをつらつらと考え、舞台裏の配線周りがスッキリ
していたらものすごく「仕事」が楽になるだろうな、「仕込み」は
えらく大変なものになるけれど。

 そういえばこないだの「道真」という仕事は演者の「動線」にかかる
配線周りに関する養生のオーダーが場面ごとの動きが固まってから
どかどかどかと出て、自分が慌てながら平気な顔をして処理して、
確認を取って、またオーダーが出て、慌てながら平気な顔をして処理、
その繰り返しをしていると、こういう「面倒事」を引き受けて動く
役割や位置がいなければ「演劇」という「公演」は動かないように
なっているのかな、そういう仕事を「やりたい」といえるようになった
自分が(以下略。

 そんなことをつらつらと考えながらじわじわと
いま、そこに在る「演劇」に入り込もうとすると
ちょうどいい塩梅で前説が入る。
前半80分、インターバル10分のち後半65分。
・・・ということはアフタートークをうまく抜け出せたら
宮崎から熊本へ向かう高速バス17時半発に十分間に合う。

 半ば安堵してこの戯曲のおおまかな解説を聞き、
解説が終わると同時にすうっと明るくなって、
演者が板の上に立っている。

 Prayer'sシリーズからの流れを受けているのかもしれないが、
空間に靴の山、その上にラジオが置いてある。
そんな状況で毎日、毎日暇である、この「暇」をどう潰そうか、
というオーバーチュアがあり、一度暗くなってから本編に入る。

 「生きる」というか「歩く」というリズムでチェロが音を出すから
「ゆらぎ感」というものが半端なく出ている。
この「ゆらぎ感」というものを演者が受けてひとつひとつの
ムーブやマイム、更にはセリフ回しが「人生における出会いと別れ」や
「人はなぜ生きるのだろう」というネタを「不条理」というもので
うまく味をつけた「演芸」というものにまで作り上げている。

 この「演芸」となっている「演劇」を九州の、あるいは九州出身の
「演劇の名手」がやっているから喜劇は悲劇に転じ、
悲劇は喜劇に転じる、それでも生きなければならない人間、
というものが手に取るように良くわかる。

 板の上に存在する 「ふたり」の「芸人」を取り囲んでいる
「現実」は今だ、何も変わっていないし、「待っている」とされる
「ゴドー」というものの正体も未だにわからない。
しかし、「時間」と呼ばれている「状況」は少しずつ、
微妙に変化している。

 もしかしたら、この「ふたり」は生きているのか、
死んでいるのかすらも分からない、あるいは知らないのかもしれない。

 さて、鴻上尚史はこの戯曲という「長大なお手紙」の「お返事」として
「朝日のような夕日をつれて」という戯曲を書いたことはすごく有名。
(だから「鴻上夕日堂の逆上」なのかもしれないね、うふふ。)

 「いったい、誰を、何を待っているのですか」
 「本当に、その待っているひとやもの、ことは来るのですか」
 「来るか、どうかわからないひとやもの、ことを待つの、疲れませんか」

 という「お返事」から「ゴドーを待ちながら」に自分は入ってしまったから
「本当の」演劇人はこういうものごっつい「お手紙」をもらい、
この戯曲という「お手紙」に対してそれぞれの立場で、
それぞれの表現手法で「お返事」というものを書いて、出すために
日々、苦悩呻吟しているのかもしれない。

 というか、「ゴドー」というものの正体も見る人それぞれによって
違ってくるのかもしれない。
ただひとつ言えることは「次」というものがわからなくても
生きなければいけない。
そうすることで人間というものが如何に馬鹿で、間抜けで、
くそったれ、だけれども何故か愛しい、ということが良くわかるから。

 まあ、とにかく、今日も、明日もあさっても「暇」というものは
続くのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。
そんなことをつらつらと考えながら携帯電話の電源を入れると
・・・もう、バスの時間に間に合わないじゃないか。
そろそろと外に出て、タクシーに飛び乗り、バスに間に合う。
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