南無サンダー「ヂゴクダンサー」

「労改」からの脱出。
 
 知る人ぞ知る「肉体は演劇」を地で行く劇団。
公演開催ギリギリになって「来てください」と言われたら、
そこに日程がぼっかり空いていたら「怖いもの見たさ」で
駆けつけてしまう。

 ハコの中に入ると、床一面ダンボール。
そういえば、自分たちが仕事した芸工大の「道真」は
前景(ホリゾント幕)を一面ダンボール、それをみんなで作ったな。
(「神」故に、「紙」にしてしまいました)こういうことを思い出す。

 床一面ダンボールに血らしきものが点々とする、前を見れば
金網があり、角材があり、まさしく"Hell in the Sell."
これからデスマッチがおっぱじまりそうな空気がじわりじわり
やってくると身も心もおどろおどろしくなってしまう。

 そのおどろおどろしい感じが「能古島」という場所が
第二次大戦以前までは「残島」と呼ばれていた、という事実を
踏まえていて、非常に興味深く、作者の隠れた「教養の深さ」まで
垣間見えてしまうから、正直すごい。

 「隠れた凄み」を感じさせる導入部から気がつけば物語の中に。
さて、お話の中身はファシズムというものが極端にまで進んでしまった
「これから」の日本、その中にある福岡の玄界灘、博多湾に浮かぶ
「残島」、あるいは「能古島」という場所に存在する(かも知れない)
「牢獄」という名の「労働改造施設」で起きるもろもろごと。

 ここはありとあらゆる犯罪者をぶち込んで「意味のない労働」を
死ぬまでやり続けるように仕向けていく、とても、とても恐ろしい場所。
この場所に「流れ着いて」しまった恩義、というものが深すぎて
わたしを育ててくれた親分とその組織を崩壊させた「敵対勢力」を
たった一人で崩壊させた、という咎によってこの「労働改造施設」に
送り込まれた男がひとり。

 この個性的かつ筋の通った男を取り巻く一筋縄ではいかない
一癖も二癖もある先達の収容者、そして「ファシズム」というものは
実は「男社会」と見せかけて、「女社会」だっのではなかろうか、と
考えさせられるくらい看守に女の演者を揃え、収容者たる男を
いじめにいじめまくる熱量、男の収容者同士による
「意地」の激しいぶつかり合いの熱量が半端ない。

 更にはこの熱量を、ナチュラルに鍛え上げられた演者の身体を通して
表現されるとこの演劇、というか劇団の持っている
独特の「男臭い」においや空気がドカンと来て、
なんとも言えなくなるのです。

 更には「意味のない労働」としてじわりじわりと客席を
イントレパイプで仕切り、囲んでその上から金網をかぶせ、
更にビニールシートをかぶせて見手に
「これから始まるシャレにならないこと」から身を守る手立てをしたら、
「労改からの脱出」というある意味「プロレス」を客席の上にある
「金網」の上でおっぱじめ、血反吐代わりにクランベリージュースを
(此処から先、あまりにもエグいんで自己規制)。

 たまにはこういう男臭いものも見たくなるんだよなぁ。
同時に「こんなの、わたしではない」と「わたしじしん」を力尽くで
捕まえて、命がけで「作る」作業をしてしまえば他者や異者に対して
文句はもちろんのこと、愚痴やボヤキすらも出てこない、というか
そういう言葉を出す余地すら与えてもらえないほど作業は厳しく、激しい。
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