rawworks「中村仲蔵」

徹底的に貫き通す。

 少し早い時間から長崎に入って、開演までうまいもん食って、
温泉にも行ってゆっくりできるかもしれない、なんて
思っていたら、甘かった。

 ・・・ふうっ、ホークスの先先行、6月の阪神戦、ハム戦、
2つとも取れてしまったじゃないか、おまけに机の上に
引っ掛けて使う「書見台」を探して買わなければ。

 色んな意味でカネがかかりすぎる。
緊縮財政によりいっそう磨きをかけたいが、もう嫌だ。
くんちの諏訪神社に行き、そんなことを考えつつ
ひさしぶりに宝町のポケットシアターへ向かう。

 中に入って驚いた。
昔ながらの「芝居小屋」が現代風味にアレンジされながらも
再現されている、というか、なんというか。
おまけに客席が三面になっていて、こういう作りは
同じものを3度見に行きたくなってくる、けれども日程、
加えてお金の問題というものがなかなかそれを許してくれない。

 演劇、というかアートというものは「歴史」という
「アーカイブ」の中に隠れている「トレンド」というものを探して、
拾って、ピタリとハマる「ピース」を新しく補うようにして作る、
そうして「歴史」というものをつないで、続けていくのかもしれない。

 こういうことをつらつらと客席で考えていたら
ものすごく姿勢と所作の良い前説が始まり、
本編の上演時間は90分、とのこと。
どうやら高速バスの最終にはなんとか間に合いそうだ。

 前説の間にもぞくぞくと客が入ってきて
数分オシで本編が始まる。

 お話の中身は孤児が「芸の道」で生きている人に
「拾われて」、最初のうちはこき使われ、その後に
芸を仕込まれ、見つけて、身に付けて、一度は芸の世界で生きてみた。

 けれども「運命のイタズラ」でまた堅気の世界に戻されて、
そこで生きてはみたけれど、芸の世界が骨身に染みてしまうと
堅気の世界で生きていくには無理がある、ということを悟り、
また芸の道に戻って、更にありとあらゆる「汚いもの」を
嘗めに嘗め尽くして更に芸を磨き、看板を背負った男の一代記。

 けれども、看板を背負うまでに喪ったものは数多く、
喪ったものやことをすべて飲み込んで開き直ろうとはするけれど、
「過去」の残像に揺さぶられ、「成功」という幻にも揺さぶられ、
心と体、そして頭が狂っておかしくなろうとも、「板の上」という
ものすごく広いけれど、ものすごく狭い「場所」でしか
生きることができない。

 この「覚悟」と苦しみや痛みを背負って生きた先に
「生の歓び」がある、ということを「心理的な広さ、狭さ」や
「陰影の使い方」で変幻自在に見せている。

 そうなると、物凄く狭い、物凄く密集した濃密な空間で
「研ぎ澄まされた」藝の凄みをいつの間にか見ていた。

 あるときは、歌舞伎であり、またあるときは落語であり、
そして万才でもある。

 こういう壮絶なものを見ていたら、長崎に向かう道中、
あることで「わたしの世界」と方法論によって「違う世界」に
うっかり口を出してしまったわたしの愚かさに気がつく。

 ・・・ただかおり巧い、帯域が広くなってきやがる 。
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