不思議少年「棘」

「沈没する」という感覚とはこういうものなのか。

 西鉄ホールに「オクタゴンスタイル」というものすごくエッジィで、
しかもえげつない表演空間を持ってきてやがる。
この表演空間が持つ空気感のせいなのか、全てが緊張している。
すべてが緊張しているなか、客席のあるところに座っている
演者のもりおかだけはものすごく自由、実に「自由」というものを
体いっぱいに表現している、周りはすごくピリピリしている、というのに。

 うーん、わたしたち「見手」ももうすこしだけ「自由」に
「演劇」というものを見ることができるだろう。
けれども、もしかしたらわたしたちはだれかに「演劇」において、
誰かに「不自由」を押し付けていないだろうか?

 そんなことをつらつらと考えていたら、表演部では
あるひとりの「女性」が人生を終わろうとしている。
人はみな、たった一人で生まれ、たった一人で死んでいく、
とは言うけれど、彼女の「終わり方」はあまりにも寂しすぎる。

 更に「坊や」という幻なのか、現実なのか、もしかしたら・・・
という「存在」が現れ、彼女と「激しく」会話する、あるいは
彼女自身の「問わず語り」が物語の基本的な骨組みに
なっているのかもしれない。

 「まるこ」という女性は「ほんの少しだけ」平凡だった。
故に非凡という存在になりきることができなかった。

 非凡になることができなかったから高校時代、「中途半端」な男を
うっかり好きになり、中途半端な男だからついつい「尽くしすぎて」、
うざく思われて、嫌われ、別れ、その反動で「サセコ」として
大学時代を過ごし、「サセコ」に飽きて社会人、若い男から
求婚されたものの、過去の辛い体験のせいで愛というものを
素直に受け入れられず、ひとりで生きていくことを選んでいた。

 選んで、受け入れていたら突然「結婚」が飛び込んできて、
お互いがお互いを認め合うゆるい夫婦生活の隙間に
高校時代の中途半端な男がまた飛び込んできて、
また「尽くしすぎて」中途半端な男にも、夫にも捨てられた。

 ねこ一匹とひとりの生活が始まるものの、気がつけば
彼女はいろいろな苦労がたたり、子宮癌で余命幾ばくもない。
その病室で一人見る走馬灯。

 わたしはわたしの感情を入れず、この走馬灯をじっと見ていたら
数年前から交際して、近い将来結婚して共に生きていきたいなと
いつも考えて、月一回あって、話をしている女性のことを考えていた。

 「大切な人」は「結婚」というものを「一つ間違えたらお互いがお互いを
沈没させそうで」いつも怖い、と言っている。

 なんとかして、なんとかしないと、その前にお互いのことを
知らないとまずいよね、それからわたしは「大切な人」にわたしの
今までや今、そしてこれからを話すようになり、「大切な人」もわたしに
「大切な人」の今迄や今、そしてこれからを話すようになった。

 月一回の「会話」の内容と今、板の上で起きていることが重なって、
「大切な人」がいう「沈没する」ということの正体が見えてくる…うん。
妙に私の心に引っかかってくる。

 人生というものは「平凡」の裏にある落とし穴が一番怖い。
この落とし穴に落っこちてしまうと心と体に無理をしてしまうんだよな。
自分も入院まで行かなかったけれど、長い期間、いろんなことを
おやすみしてしまった。
「大切な人」は心と体に無理をして入院どころかICUに担ぎ込まれて
・・・いわゆる「危篤状態」になって家族が呼ばれたらしい。

 そういうことをつらつら考えてしまうほど心に突き刺さる。
他の見手はどんなことを考えているのだろうか、どんな景色が
見えているのだろうか、気になるが、自分は自分のことで手一杯。

 わたしは「大切な人」がいるからわたしでいられるのかもしれないし、
「大切な人」もわたしがいるから「大切な人」として生きていられる。
こうして今現在、お互いがお互いをより良く出来ている。
 
 だからこそわたしは彼女と結婚しなければいけないだろうし、
そのためにわたしはわたしの今やっている、できる仕事を
しているのかもしれない。
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