岡崎藝術座「+51 アビアシオン、ザンボルハ」

わたしたちは「棄民」とその反対側を
綱渡りのように生きている。


 おまけに「現実」および「事実」は人の数ほど存在する、という
厄介なことも存在しているわけで。

 さて、この演目、他団体の演目との日程面、金銭面の
兼ね合いや、会社をどこで休むか、どうするか、という問題により
広島でも、熊本でも、ましてや鹿児島でも見ることができなかった。
でだ、各地で見た知り合いが「すごくいい」と言っていることを横目に
「ああ、このままこの演目を見ることができないまま人生終わるのか」
なんてことを考えていたら、いいタイミングで福岡にやってきた。

 ワンチャンスをものにするには大変厄介な時間帯だけど。
・・・見に行くためには仕事を「どこかで」切り上げなくてはいけない。
本当はギリギリまで働くのはベストなのだけれど、仕事自体が
中途半端になってしまう、だとしたら午前と午後の切れ目で
切り上げて、近所の資さんうどんでご飯食べてまったりしてから
演劇に向かうことにしよう。

 ハコにたどり着き、久しぶりに合う人に挨拶したり、
ボーっとして待っていると、いつの間にかドアが開いて、
中に入ると、ものすごく贅沢な空間のつくりだ。

 今、そこに存在している色や音にそれぞれ意味があるのだろう。
その意味を必死に探ろうとすると、この場所に辿り着くまでに
蓄積した疲弊、というものがわたしの身体を蝕んでいく。
うとうとしていると、演者がいつの間にか表演部に入り、
静かに、極めて静かに物語が始まっている。

 「わたし」という、ある「演劇人」が「私自身」というものを探しに
「トーキョー」から「オキナワ」、そして「オキナワ」から「ペルー」へと
旅、というか流れ流れていく「物語」を軸に「佐野碩(さの・せき)」という
「過去に存在した演劇人」が「自身」を「戦時中の日本」という
「国家と社会制度」では「自身そのまま」を受け入れてもらうどころか
「犯罪者」として獄に繋がれてしまう、故に、アメリカからドイツ、
そしてソヴィエト・ロシアまで流れ流れていく、そこでやっと
「自身」を「自身のまま受け入れてくれる」場所を探し、見つけたが、
師匠たるメイエルホリドがスターリンの粛清で排除される事態に
巻き込まれ、メキシコ、という場所でやっと落ち着きどころを見つけた。
という「物語」がところどころ「挿入」されていく。

 このふたつの「物語」に共通する「肝」は「わたし」という「存在」の
「根っこ」というものをどうやって、どこに求めていくか、
求めた場所でどうその「根っこ」を張っていき、「樹」として生きていく
ことを選ぶか、「花」として生きていくことを選ぶか、「草」として
生きていくことを選ぶか、果ては「根無し草」として生きることを選ぶか、
あなたは一体どうするの?という「問いかけ」に「神内良一」という
「懐が広くて大きい」が「神も悪魔も知っている」人間が成したことや
成したものをところどころ「補助線」として混ぜ込んでいる構造。

 そういうふうにして見ていたら「わたしたち」は一体どこから来て、
いったい何を成しに来たんだろう?
というか、「わたしたち」は一体今、どこに「所属」していて、
どう「存在」しているのだろうか、「ひと」なのか、「民衆」なのか、
「奴隷」なのか「ペット」なのか、それとも「主人」なのか?

 更に突き詰めて、わたしたちは「居民」なのか、「市民」なのか、
それとも「移民」なのか、更に言えば「棄民」なのか?

 そして、わたしたちはこれらの「存在」や「所属」を「自らの意思」で
「積極的」に選びとってきたのか、「自らの意思」にかかわらず、
「外的要因」というものによって「消極的」に選び取らされたのか?

 いや、まあ、心身ともに疲弊感を感じるときに「ふたつの物語」や
「数多くの選択肢・あるいはマトリックス」を行ったり来たりという
「精神的活動」というものをしてしまうと、ものすごく「わたし」という
存在が余計に揺さぶられ、「なんぞや」という問が迫って来る、
故に、所々でうっかり落ちてしまう。

 ・・・意識が戻って、ひとつの「結論」というものに辿り着く。
「んなこと、どうでもいいじゃねーか」という具合に。
「立場」や「役割」によって色んなモノやことが「決定」されて、
「制限」されてしまう、それが人間の悲しき性、というやつよ。

 けれども、「立場」や「役割」、「決定」や「制限」は
永遠に普遍ではない、いや不変ではない。
時間を始めとしたたくさんの「要素」が介在することによって
また新しい「立場」や「役割」、「決定」や「制限」が産まれ、存在する。
それも人が生きている数と同じくらい誕生、変化するわけで。

 ・・・これをいいようによっては「偏見」といい、
更に「偏見」のコレクションを「常識」と誰かは言うのだ。 
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