劇団tempa「歌姫」

広島、という街はわたしを二度、涙させる。

 北芸の「北斎」から夜中にようやらやっと家に帰り着き、
ご飯を食べて、うだうだしていたらもう寝る時間。
翌日は早起きして博多バスターミナル、広島行きの高速バスに
乗り込んでうだうだとしていたらもう広島駅前。

 地下の食料品コーナーで食べ物を調達してまずは
マツダスタジアムまでゆるりと歩こうか。
・・・福岡ヤフオク!ドームだと食べ物を調達するのに一苦労、
その後に長い列を作ってバスにのるか、地下鉄に乗って
唐人町で降りてこれまた長くてだらだらした道を歩くか、
野球の試合を見る前からひどく疲れてしまうではないか。

 マツダスタジアムは道の途中にも美味しそうなものや
美味しそうな匂い、なんていうか「野球という祝祭」が
もうすぐ始まるよ、という空気に道中が満ち溢れているから
ストレス、というものがなく、いい気分で試合に入ることができる。

 そして今回は「生ビール飲放題付き指定A席3塁側」を
取ったものだから飲み放題用のビールサーバーの真下に
座席が用意されているではないか!!

 席について、荷物をおいて、コップ引換証をコップと軽いおつまみ、
そしてバンドを手首に巻きつけてまずは一杯、おかわりして
買ってきた食べ物とともに飲んで、食って、試合開始前のひとときを
過ごす、うん、これが良い週末の昼の使い方だ。

 それにしても「広島カープの歌」ってさんざん苦しい思いをして
何らかのところに辿り着いた、あるいは辿り着こうとする人々にとって
行ったことのある道のりと歌詞がピッタリとハマるものだから
不意に泣いてしまうではないか。

 そうしてある程度飲んで食って、試合に集中するともう演劇の時間だ。
こちとら完全に「出来上がった」状態でこれまた近いところに
東区民センターがあって、これが「泥酔」というものなのかと
足元をふらふらしながらなんとか客席に辿り着く。

 わたしのありとあらゆる感覚がおぼつかない、書く字までも
めちゃめちゃのぐちゃぐちゃだ、こうなったらもう「見ること」に集中だ。

 前置きがあまりにも長すぎた。

 このお話の元版は「東京セレソンデラックス」という劇団が
やっていて、一般的にはTOKIOの長瀬と相武紗季が出ている
テレビドラマとして知られているし、あの妊婦のお姉さんの役が
サタケミキオ・・・じゃなかった、セレソンデラックスの主宰
宅間孝行の今では「元」嫁となってしまった大河内奈々子が
演っていたのは軽いトリビア、としておこう。

 このテレビドラマがリアルにあった時、セレソンデラックス本体が
福岡で公演を打つとき、「仕切り」はXXかXXですよね?と(以下略。
その流れで「東京」ではなく「東宝セレソンデラックス」で一本見て、
福岡の後藤香という人が「くちづけ」という戯曲を自分が教えている
専門学校の生徒、卒業公演という形で演ったのも見た。

 セレソンデラックスの肝は「物語の本筋」を外しまくったところに
これでもか、と笑いを仕掛けてその「落差」で大きな感動を作る、
というところを完全に削りとってガチで「差別される側にも人生がある」
ことを見せていく作りにしてしまった。

 さて、おちさんは今回の「歌姫」をどう調理していくのだろう?

 結論から先に言うと、おちさん、遊びも、削ぎ取りも無しで
セレソンの「良さ」をガチで出しやがる。
昼間にマツダスタジアムでカーブの歌で散々泣かせて、
夜は近くの演劇でこれでもかと泣かせて。
・・・・まじずるいわ。

 というか、セレソン以上に寄り道に寄り道を重ねて
「不思議な人生の綾」にまで物語を作っちまった。

 時は戦争が終わって間もない、高知という四国でも
人里離れた場所にある県の更に県庁所在地からもっと離れた
町にある映画館、という場所がある。

 この映画館に集う町の人々はみんな「それぞれのペース」で
「わたしじしん」というものを生きている。
この場所に記憶をなくして流れ着いた「太郎」がいて、
「すず」という女の子は「太郎」を慕い、「太郎」も「すず」の
愛を真正面から受けて、いい関係を作れてはいた。
で、お互いがお互いを「大切な人」と思うようになるのが前半。

 後半は県庁所在地から「太郎」の義理の両親がやってきて、
「太郎」の記憶が蘇り、切ない別れと新しい命の誕生、
そして時代は流れて、また別の形で再会を果たす。

 映画そのものはポスターという形でしか見せないが
一味違う「ニュー・シネマパラダイス」という趣にも仕上がっている。

 いままでずっと自分のリズムとペースで「人生」を生きていて、
これからも生きていけるだろうというところに戦争がやってきて、
リズムとペースを崩されながらも命からがら生き延びて、
また自分のペースとリズムで人生を始めようとするが、
時代の流れ、というものは残酷で、なかなか取り戻せずにいる。
・・・そんな不器用さにわたしは涙するのです。

 さて、テレビドラマの「歌姫」のDVDセットと
「ニュー・シネマパラダイス」のDVD探して借りてこないとな。
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