北九州芸術劇場×北九州市立美術館分館vol.4 「モネ、逆さまの睡蓮」

「価値」というものに対する、一つの「挑戦状」。

 何年働いたか、正直わからないが、長年勤めたハンバーグ工場の
仕事を一週間前、辞めた。
演劇の仕事、扱う仕事がでかくなって、その仕事にぶつかることで
結果として「わたし」が大きくなったのか、「神経症患者」が増えたのか
よくわからないが、ここ数年、その場所にいて、働くことが窮屈になった。

 というか、ずっと「戦い続けていた」のかもしれない。
「わたしは、わたしでありたい」という「たたかい」がひどくなって、
結果としてぶっ飛んで、「一線」を超えてしまった。

 超えてしまうと、あらゆることにおいて「解放」されるんだな。
時間が経って、心の整理がつくと恐怖、ではなく、安堵しか起こらない。
「お金のこと」とか心配事はあるが、まあ朗らかな心持ちだ。

 そういうことがあって、はじめての遠出、はじめての演劇。
高速バスに乗り慣れていないから、時間が読めず、
着いても1階エレベーター前の「公演案内」が平日昼バージョン、
それを見て「早く着きすぎた」と慌てるが、それはそれで。

 北九州市立美術館が所蔵する絵画1点を題材にして演劇作品を製作し、
演劇鑑賞・作品解説・絵画鑑賞をセットで味わってもらおう、という
趣向の企画もとうとう第4弾。

 第1弾は「美術館学芸員(キュレーター)」の視座、第2弾・3弾は
年齢の幅をもたせた「作り手(アーティスト)」の視座で演劇を作った。

 ・・・こうなると「もう一つの立ち位置」である、
「観客・見手(ギャラリー・パビリオン)」というところの視座を
印象派の画家クロード・モネの《睡蓮、柳の反影》という
「絵画」をネタにして「演劇」を作っていく、という今回の趣向。

 「表演空間」はすっげぇおしゃれな「アート喫茶」。
そこに毎週集っている年齢も職業も思考と嗜好がバラバラな
「大人の絵画サークル」というものすごく、というか、
ものすごくを飛び越えた先の「ゆるすぎる」集団に子育てが
終わりかけた女性、言葉きつく言えば「おばちゃん」が飛び込んできた。

 おばちゃんが飛び込んできたことによって始まった
「絵画の良し悪し」とはなんぞや?
という「議論」から「価値」をめぐる議論、
そして「絵画の良し悪し」と「価値」をめぐる考察、
考察の過程として「実際」に鞘ヶ谷の美術館に行き、
「日常」の中で何も知らない「他人」にアンケートを取る、という
「新しい試み」を混ぜてより考察を深めていく。

 結果として、「新しい知見」を得る、という流れに
おばちゃんの「過去の疵、というか諦めたこと」を混ぜ込んだ
「知的冒険エンターテイメント」に仕上げてきた。

 この「知的冒険エンターテイメント」に
クロード・モネの《睡蓮、柳の反影》という「絵画」を北九州市が
「購入」した時の経緯、手違い、その他諸々を小ネタとして挟んでいる。

 というか、23年前の「印刷技術」と現代の「印刷技術」、
格段の変化過程、というものをわたしは知っている、
更に言えばその中で働いていたから「市政だより」に
逆さまに載っちゃうこともあるよね、「モノクロ」だったら尚更。

 モノクロ、しかも「粒子の荒い」印刷物からでも「何か」を感じ取って、
「これ、逆さまじゃね?」ということのできるひとがいることが
わたしにとって正直すごい、と思う。

 更に言えば、「良い絵画」というか「良いもの全般」に共通して
言えること、見えること、感じることは「考えるための引っ掛かり」が
「複数」あることと、それよりも大事なこととして「エネルギー」が
何かしらあること。

 その「エネルギー」は「天と地」を入れ替えると質、量ともに変化する。
・・・そこを感じるまでには「スピリチュアル」も必要だし、
「物理の原理」も
必要なのだろう、というかバランスが肝腎だよ、と。

 故に、過去3回よりも肩肘張ることなく、物語にすっと入ることができた。
 
 更に凄いのは、各演者の「人物描写(デッサン)」の旨さ。
多種多様の「キャラクター」を絶妙の塩梅で演るものだから、
ある意味「人間あるある」へと化けて、これまた絶妙の味わい。

 中でもみやむらじじとごとーかおるの掛け合いという
「化学変化」が半端ない。
ハード、というかソリッドにみやむらじじが突っかかる、その突っかかりを
ごとーかおるが熟練の技術でソフトに、スーパーソフトにいなしていく。
その「化学変化」によって何かがリセットされて、前に進んでいく。

 その様子が、あたらしいところに進みゆくわたしにとって、
えらい励ましと、十分な示唆、というか、モネと泊さん両方から
2枚の「挑戦状」というものを貰った感がするのです。

  これら「挑戦状」に対する「答え、というか何か」を
わたしはこれからの 「演劇」と「生活」の中でレポート等で
「形」にして、見せるしかない、そういう決意にたどり着いた。

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