弦巻楽団「四月になれば彼女は彼は」

「日常」と「非日常」、そして、「演劇」と「生活」。

見て、結論から先に言うと、不思議少年の大迫さんが
おととしの若手演出家コンクールを取れなかったことがよくわかる、
物語の突き刺さリ具合であったし、技量に於いても他我の差は
明らかだった。

「ガチの演劇」と言うもので「日常」と「非日常」、「演劇」と「生活」を
薄皮一枚で接している様を見せられると、尚更。

空間の作りはごく普通の「会議室」というか
演劇・音楽練習室によく附設されている「製作者スペース」というところ。
そして、演者が一番最初に入って、一番最後に出る扉に
アイアンシアターにしかない、上の「日常」と「生活」空間、
下の「非日常」と「演劇」空間それぞれをつなぐ「階段」から扉を開けて
表演空間に「やってくる」、それだけで他我の差、というものを見せつける。

そして、劇中でつかった「戯曲」が岸田國士の「紙風船」、
これは福岡の文化芸術振興財団が2年サイクルで展開している
「一つの戯曲からの創作を通して語ろう」という「演出家コンペ」、
記念すべき第一回の「課題戯曲」だったのですよ。

あの時はなかむらゆきえのぎゃ。とたさかてつろうの
非・売れ線型ビーナス、MMSTと京都からやってきた
うーん、名前忘れたところがプレゼン審査に残って、
名前忘れたところがパワーポイントを「過信しすぎて」
システムダウンに対応できず脱落。

実演審査で当時の福岡演劇にはない「異質な演劇」というか
「コンテンポラリー演劇」の端緒を見せたMMSTがこれまた
他我の差をこれでもか、と見せつけて第一回のタイトルを取り、
その縁で東日本大震災後、福岡に半分本拠地を移した。

さて、本編の話をしようか。
基本的な流れはとある劇団が数週間後に打つ「本公演」に
向けた「試演会」の準備をする男と女。

・・・それにしても「試演会」と「本公演」の日程が詰まっている。
もしかしたらこの劇団の「看板女優」が前々から予定された、ではなく、
突然この劇団をやめて、「演劇」をすることもやめてしまったのかもしれない。
この突然空いた「穴」を埋めるために「試演会」をこのタイミングでやるのか?

そうなるに至った「事情」と「紙風船」という戯曲の内容が
薄紙一枚の接近具合で重なりそうで重なろうとした刹那、
爆発するかのように「分離」していく。

その様子を見ながらわたしは昨日の夜、結婚を約束している
「大切な人」と同じ内容を話していたことに気が付き、
話の中身、表情、呼吸、その他諸々を思い出しながら
「紙風船」、というか岸田國士戯曲の中に描かれている
「好き」が高じて「愛してる」になり、夫婦になったけれど
「現実」を知らなかったのか、知りたくなかったのか、
「理想の夫婦生活」と「現実の夫婦生活」の落差に苦しむ。
そして、落差に苦しんだ疲弊から夫婦は別れることが多い。
この事実に納得してしまう。

疲弊して別れたくないからお互いに落差を削って、
苦しい現実をもがいて、あがいて、這い上がって夫婦になろう、と
自分と大切な人はそう決めた。
・・・時間がかかりすぎて、ああ心がいてぇわ。

そういうひりひり感が60分間ずっと伝わってきて、
最後の「四月になったら連絡する、そう言っていました」、に繋がるんだよな。

・・・作劇も、演出もそして醸し出す雰囲気も弦巻さんって
アイアンシアターを「作った」のこされの市原さんに
どことなく似ているんだよなぁ。
「コンテンポラリー」に走らず「ガチの演劇」を目指している以外は。

ほんと、こういうのを感じると九州の演劇も、自分も
まだまだ足りないところ、及ばないところ、たくさんあるんだよなぁ。

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