下鴨車窓「旅行者」

沙漠のチェーホフ。

 INDEPENDENTの3セット目、葉山さんの演目を見たあと
場転のじゃまにならないようにひっそり、素早く場所を後にし、
大橋駅から西鉄天神まで電車で行き、少し飲んで
夜行バスに乗る。

 脱法、じゃなかった新高速バスではない、
普通の夜行高速バスでも時期によっては
「現代版ガレー船」の様相を呈するわけで。

 どういう事情を抱えて関西に向かうのかわからないが、
乗ってくる人ひとりひとりの「身体言語」が妙に一言多く、
さらに言えば、なんかうす汚くて不安定な時期は
それが引っ掛かりとなって無性に腹が立つ。

 この腹立ちに加えて関門橋で火災が、関門トンネルをくぐるために
ものすごい渋滞、結果90分遅れ、恐ろしく暑い中を神戸三宮の
バスセンターに降り立つ。
まずご飯食べて、金券ショップの当たりをつけるも、
店が開くのには時間が掛かる、仕方がないからネカフェの
パソコンとか何もない漫画を読むための椅子コースを取り、
シャワーを使い、漫画を読みつつ時間をつぶす。

 ちょうどいい時間になったので、金券ショップに行き、
三宮から伊丹までの阪急電車と神戸から高松までの
ジャンボフェリーの切符を買う。

 そしてえんやらやっと三宮から特急で西宮北口駅、
普通に乗り換えて塚口、そこから伊丹線に乗り換えて終点。

 ・・・アイホール、阪急電車の駅至近じゃなく、
JRの駅至近だったのねとこれまたうだる暑さの中歩き、
なんとかたどり着き、ハコの中に入る。

 ホールの「広さ」を活かして物語が「流れる」ように
空間全体を作っている。
そういえば、下鴨車窓は5月に福岡大橋で「渇いた蜃気楼」という
演目を見て、その時は季節的なルーリングとして「夏」を
よく使っているよね、今回は季節、というものはあまり感じられない。

 となると、一番最初に下鴨車窓を見た「人魚」のように
「さまよえる人々」を描く、と言う基本的な構造なんだろうな。
こんなことを考えていると、当日券の入場列に紛れて
一人の演者がスッ、と表演空間の中に入っていく。

 見手がさざめいている中で、「演劇」はもう始まっていた。

 さて、このお話はチェーホフの「三人姉妹」を大黒柱として、
所々に「桜の園」を効かせている、という基本構造やねん。
ざっくりとぶっちゃけてしまえば、そうなっちゃう。

 所々に「新しい場所で生活」だとか、「女子も労働をしなければ」とか
半ば「革命的な言葉」というものがチラホラと聞こえてくる。

 けれども、チェーホフの「言葉」の基本となる「風土」は
ロシアの「永久凍土(ツンドラ)」、草木までとは言わないが、
コケ類はなんとか生育しているよ。

 けれども、今、ここで繰り広げられている「風土」は
沙漠(砂漠ではない)、人間以外の生物が何もいない、
不毛の土地、この違いがものすごくひりひりするのだ。

 しかも、「三人姉妹」に腹違いなのか、なんなのかわからないが
「別の人間」が次々と投入されて、「xxである」という「存在の曖昧さ」を
「弁護士」という「曖昧さを潰す存在」が介入することで
余計ややこしいものに化けさせて、さらに「土地の問題」まで
加わって怖ろしいくらいのややこしさに化ける。

 これって、平田オリザと青年団のテーマたる「分かり合えなさ」と
いうものの「正体」なんだよなぁ。
けれども、下鴨車窓のほうが本家よりも「分かり合えなさ」というものが
「厳しく」効いていて、いろんなことを考えてしまうのです。

 人の流れは絶えずして、元のところに・・・とは言うけれど、
流れに乗ることがしんどい、と「判断」したから
その場所に「とどまる」ということも多々あるわけで。
これらの判断は「わたし」だけにしか下せない、というか
判断できないわけで。
スポンサーサイト
プロフィール

itumo25254you

Author:itumo25254you
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR