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劇団チョコレートケーキ「ドキュメンタリー」

「因果応報」を何らかの形で受けておかないと、わたしたちは先に進めないのか?

 そういえば、この劇団に岐阜の中津川で「福岡においでよ」と言ったことを
キびるフェス、キックオフイベントで薄っすらと思い出す。
まあ、福岡初登場で、福岡に薄っすらと「ゆかり」のある、しかも仄暗い「ゆかり」を
お話にして持ってくることが、正直すごい。

 というか、この板の上で語られている「事実」にわたしは思わず憤怒して、
1990年、私が高校二年の時献血を始めた、というか入り口は献血車が
直接学校に来て、それからぽんプラザホールの近く、今はドラッグストアモリか
牛丼の吉野家が入っているところに献血ルームがあって、そこでは
お菓子も食えるし、ジュースも飲める、いい時間潰しだ、という動機だったけれど。

 そういう動機から、「あら、あなた結構動脈太いのね、だったら成分献血行ってくれ」と
言われ、あのころは出して、戻してのサイクルが異様に長くて、長めの洋画一本まるまる
見ることのできる時間だったけれど、今は機械が良くなって、テレビ見流すかなにもしないで
ボーツとしたほうが(以下略。

 で、成分献血をやると全血献血200ミリで献血回数1回カウントが3から5回カウントになって、
気がつけば居住地の役所から銀色有功章やら金色有功章が宅配便で送られて、
家に飾るしか使いみちのない分厚い盾だから速攻押し入れにしまって、
どこへ行ったかわからない。

 そういう事があったから1995年、新しい制度での顕彰制度では直接赤十字から
ガラス製のちっちゃいお猪口、50回が銀色がかかった青、100回が金色がかかった
黄色をもらうようになったのだ。

 こういうふうに「私と献血」というもう一つの物語をじわじわと思い出すくらい冒頭部から、
老医師が登場してボツりポツリと語りだしたとき、生まれた空気感は元本の
森村誠一氏が書いたノンフィクション小説ではなく、遠藤周作氏が書いた
この福岡、更にいうと九大病院で起きた出来事を書いた「海と毒薬」の
流れを想起させるような時間の流れ、空気の漂いだった。

 というか、老医師が森村誠一氏のノンフィクション小説をくずかごに入れる場面が
妙にしっくりきて、語り口と佇まいが「海と毒薬」の勝呂医師をなぜだか想起してしまう。

 更にいうと、内部告発者のプロパーさんが「海と毒薬」の主人公、結核からの肺気泡を
治しに勝呂医師のもとへ行く男、フリーのノンフィクションライターが遠藤周作本人、
そのぐるぐる回りによって、「物の本質」がくっきりはっきり見えてくる。

 このお話の裏テーマは「血液」をめぐる「日本赤十字社」と「ミドリ十字=731部隊」の
今しがたまで続いていた暗闘の歴史だったのかもしれない。

 というか、赤十字が血液事業に乗り出したのはミドリ十字=731部隊より、どうも遅かったらしい。
おまけに、「社会貢献」と「銭金」を秤にかけりゃ、「銭金」が文字通り重たい世の中、
万が一自分や家族、親類縁者が輸血必要時に面倒がなくなるだけ、という半ば保険に近い
赤十字のやりかたではミドリ十字=731部隊にはかなわない。

 がだ、ライシャワー氏という「日本とアメリカをつなぐ大事な存在」が突然刺される、
という「テロ行為」から当人に輸血された血液がミドリ十字=731部隊が供給した
血液だったことがもとで肝炎になっちゃった事件をきっかけに「黄色い血追放キャンペーン」が
始まり、輸血用の血液はミドリ十字=731部隊は関与しないで、と赤十字、喧嘩状を叩きつける。

 そうなるとミドリ十字=731部隊は輸血用の血液からは手を引くが、血友病患者用の
血液製剤というビジネスモデル構築を裏で進め、確立と同時に預血事業から手を引く。

 その後どうなったか、をガチのドキュメンタリーとして落とし込んだのがこの演目。

 一見、不完全燃焼に思えるエンディングだが、1985年以降の献血史、とくに
物語が語られた翌年に成分献血が始まり、1989年、地道な調査の結果
NNNきょうの出来事から始まった一連のキャンペーンからミドリ十字=731部隊が
血液事業全体への関与ができない、というか罰則を含んだ禁止という処分を受け、
2002年に法制化という厳罰となり、2012年国有化、となれば、告発も意味があった。

 がだ、人間って、じぶんも、そうだけれど良い行いの種と同時に悪い行いの種も蒔いている。
そして、良い行いの種からの稔りは他者や異者に自慢したがるが、刈り取らなきゃいけない
悪い行いの種からの稔りは自慢どころか見られると困る急所に化け、他者、特に異者に
刈り取らせようとしている。

 刈り取らせようと無理やり働かせた人間は恨み骨髄、晴らそうとやっきなことを思えば、
北方四島問題やら何やらの日本という社会が抱えている全問題は人間が人間である以上
解決は不可能に近い、解決できる道は、自分自身で悪い行いの種からの稔りを
ヤブから蛇という脅しに負けず、これでもか、これでもかと刈り取りきって、焼き尽くすこと。

 
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演劇を見て、感じて考えて書いていきます。
ひとつの言葉が次につながるきっかけになりますように。

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