マームとジプシー「あたしンち、通過のちダイジェスト」+北芸プロデュース 「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」

「喪失」、そして「再生」。

 旬のものはなるべく旬のうちに。
これ、人間生活に関わるものすべてに共通すること。 
 
マームとジプシー「あたしンち、通過のちダイジェスト」
 導入部が今、そこに存在する全てに「意味」が「隠されている」という観点で
やばいを通り越して、エグい、恐ろしいほどにエグい。
人は誰しも他者に覗かれたくない「無意識の扉」というものがあって、
いつもは強い意識というものによって厳重に守られてはいるが
こういう形で呼びかけられたら無意識のうちに扉を開けてしまうじゃねーか。

 こうしてうっかり開けてしまった扉から飛び出してきた、
いままで生きていた中で遭遇した「失う」という感情が
手を変え、品を変え、これでもか、という勢いで目に飛び込んでくる。

例えば住む家を失う、家族や恋人という大事な人を失う、たくさんの大事なものを失う、
そしてほんの少し前まで続いていた様々な「出来事」を失う。
「失う」ということはその場所に「帰れない」ということなのかもしれない。
この「事実」を感じれば感じるほど私は打ちのめされるのだ。

 徹底的に打ちのめされて、結果、「負のエネルギー」というものを
じわじわと感じてしまうから、このエネルギーによって脳みそを揺さぶられて吐きそうになる。
この気持ち悪さがくりかえしでやってきて、だんだんうざくなってきそうな所で
最後の最後に「よいものや感情」がまだほんの少し残っていることに気がつくように仕向けられている。

 例えば、「道路拡張」に関わる立ち退きであるのならば、
結構な金額のお金を「補償金」と言う形でもらうことができる、という
ある意味「プラス」のこともあるんじゃないのか?
そこに目をつぶって「失った」ことを嘆くのもなぁ。
 けれども、人間の現実はなかなか「切り替える」ことを自らに許すことの
できない弱さをなかなか克服することができず、ウジウジしているさまが存在している。
この「弱さ」に正面から向き合っていくことができたらどんなにいいだろうか。

 その感覚を受け取って繋がる、と言うことは意識していなかったが。

北芸プロデュース 「LAND→SCAPE/海を眺望→街を展望」
 
 公演時間130分、長ぇな。

 私はどうやら海の底にいて、ここから何かを見ているようだ。
天井に船があって、その下の表演部に演者がワラワラと集まってアップをしている。
この塩梅が見手に物語の始まりをそれとなく教えてくれる。
・・・それにしても、バックステージから「本水の音」がサラサラと聞こえているようだが。
さらには「本水の音」に加え、水琴の音に耳を澄ませていると
気がつけば小倉の旦過市場から馬借、紺屋町近辺が持つ雑多な喧騒感が
そこにいる人の数だけ視点や観点をすこしずつずらした繰り返し、という形で再現できている。

 この視点と観点のずらし方、違えさせ方がマクロからミクロへと仕掛けられていて
視覚というものを介して何かが体の中に入ってくる。
ここにある意味「クラブカルチャー」から来るラップ、テクノミュージックによる
「グルーヴ感」というものが絡みに絡みあって聴覚というものを介してこれまた何かが体に入ってくる。

 そういうふうに「からだを使って」見るように仕組まれているから、時間の長さを感じない。

 ・・・なにかって、いったいなんなんだろう?
もしかしたら「わたし」それぞれが持っている「物語」なのかもしれない。
ここがそれぞれに持っている物語をこの場所に持ち寄って自身の持っている物語と
響き合わせながら見ているといつの間にか「思い出」という風が吹いていた。

 「思い出」という風に乗って私の感覚は劇場から、そして街から離れて
空と海へ向かい、さらには「死ぬ」というより深遠なものをうっかりとのぞいてしまった、
のぞいてしまったからそこに吸い込まれそうになった。

 が、ぎりぎりの所で「生きる」ということに掴まっているからこうしてここにいる。

 この二つの物語を通して「喪失」と「再生」を同時に感じることにぞくぞくした。
同時に感じて、そくぞくする、ということは、同時に私自身に向きあう事でもあるのだろう。
さらには、わたしが負ってしまった過去の傷にも向きあう、ということなのかもしれない。
・・・ものすごくしんどいし、ものすごく大変だけれども、そうしなければ前にも後ろにも進めない。
スポンサーサイト

テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

itumo25254you

Author:itumo25254you
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR