謎のモダン館 「蠍城の麗人」

「あい」と「いとしい」。



 このカンパニー、初期から色々見せてもらっている。
白濱さんはそうではない、とは言っているが、「夢の遊眠社」やら
野田秀樹の「言葉遊び」を巧みに生かして、表演空間
そのものにもこだわりを見せた演劇を見せていたが、
今回は「素」に近い表演空間で、演者それぞれの技量を
十分に見て貰いたい、という腹づもりのようだ。

 その心意気が開演前の「黒滔々たる闇」としてきっちり見せている。

 白濱さんが一人芝居フェスティバル「INDEPENDENT:FUK」の予選に参加して、
不思議少年の大迫さんに次位で本選に参加し、相内さんにとっては
「最大の発見」だったらしく、11月のINDEPENDENTに「呼ばれて」大阪進出、
そこで関西の隠れた人材と「意気投合」してPERFECT-Styleという
大変面白い試みを自ら企画して、というここ一年で学んできたことや繋がりが
血となり肉となってこのカンパニーに「落とし込めて」行くことができたな、
と感じながら物語に入る。

  …なんていうか、すげぇ。
板の上にいる各演者が自分の持てるギリギリの力量でムーブマイムをして、
なおかつきちんと「からだ」でしゃべれている。

 ある「商店街」の「寄り合い」の場面をそうして作り、
一度モブ、という形で崩して、なめらかに「探偵事務所」の面接の場面に移行して
またモブで崩す、この「締まって、緩む」感じを上手く作っていくことで
見手を知らない間に現実から「不思議な世界」へと巻き込んでいく。

 世の中のえぐさと愛がこれでもか、と混められている
「嘘と真実で作られた」カオスという渦の中にわたしは生きているのだ、と
思い知らされてしまう世界を「ヤンキー」というある意味、「緩め」の「異次元」を
「現実」と「カオス」の両方の間に「緩衝材」として効かせて
更には世の中には「普通の人」と「魔法」という「高次元の伝達手段」を使って
「違う世界」にアクセスできる存在に分けられていて、知らない間に
お互い、せめぎ合っている、というところまで表現できている。
・・・これを中世ヨーロッパでは「魔女裁判」というのだが。

 「真っ直ぐな想い」は世の中には必要なのかもしれない。
必要だからこそ、そうした想いを持っている人が力を持って欲しいと望むもの。
けれども、実際、そうなってしまうといつの間にか「本来の想い」から
じわじわと「離れる」ようになり、そうなることで「本質」というものが歪み始め、
この歪みがいつの間にか「世界」を破壊してしまう。
・・・そんなことは厭だ、とは薄々わかってはいるけれど。

 「真っ直ぐ」だからこそ、「異質」なものと分かり合えることが難しい、とも言う。
けれど、力を持つ過程で自らを曲げて異質なものに理解を示せば示すほど
(もしかしたら、これが「捏造」というものの始まりなのだろう)
本質から遠ざかり、歪んでしまう、ということもそれなりにはわかっている。

 ・・・だったら、「本質」というものは一体全体、どこにあるのだい?
逆に「異質」なものはどこにあるのだろう?
もしかしたら、そうやって、「人生」という「領域」に境界線を引く、という動き自体が
「愚かなこと」なのかもしれない。

 更には、「人生」という「領域」には「あい」と「いとしい」しか存在していなくて
私自身、もしくは私の周囲にいる存在にこれらを与えている。
この「働き」を手放してしまったり、手放さざるをえない状況を
「死」というのかもしれない。
「手放す≒死」という状況を通じて、私たちは何かに気が付き、
そうなるように仕向けられるのだろう。

 そして失った「あい」と「いとしい」の残骸や残り香を
「からくり」を使い、感じていく。
・・・なんか、切なくて、油断も隙もない。

 チトセピアホール、遠すぎ、そして夜は迷路。
ダイエーが演目終わる前に閉店するから、外への出口がわからない。
けれども、最終の博多行き特急の時間は迫る。
慌てて出て、路面電車で浦上の駅に向かい、なんとか間に合ったから良かったものの。
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テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

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