14+ 「真如極楽 こころとかたち」

人は誰しも「形」と「心」の片方しか持つことができない。


 一度福岡を離れて別府へ行き、スイッチを中途半端に切って、入れて
この場所に時間ギリギリで着く。

 ハコのなかに入り、ふと考えた。
世の中のありとあらゆる「宗教」は相互に「混ざっている」なと。
お互い、鋭く差別があるし、鋭く救世感、というものもある。
それぞれの宗教の持つ要素を一つ一つ確かめてみたらえらく面白いことになりそうだ。
排他志向か、受容志向か、内向き志向なのか、外向き志向なのか、
偶像崇拝の傾向があるのか、偶像否定なのか。

 そんなことを考えていると物語が始まった。
なんか、日本とコリアンって、どこか同じなんだけれど、
細かい所で違っているんだよな。
特に「おとむらい」というところで。
・・・いつからコリアンは日本というものを「否定」していたのだろう?
大昔はテレビコマーシャルとか、いろいろなものに「日本語」が混ざっていたし、
日本の資本があからさまに混ざっていますよ、アピールもあったわけで。
ここを緒に不思議な物語へと更に降りていく。

 仏師とその弟子二人、そして仏師の娘。
「三角関係」が2つできている。
弟子は己の中に「形」を見たのか、それとも「心」を見てしまったのか。
娘は「心」と「形」の「均衡」を取りたい、と思っていた、というか
「心」と「形」という枠組みを全部取っ払って自由でありたい。

 それぞれの思いがグルグルするさまを見ていると、
この世というものは「形」でできている、というか
無限に膨らむ「心」というものを「形」が押さえつけているのかもしれない。
結果、心はもくもくと「形」の外にはみ出して厄介なことになってしまう。
このはみ出して、厄介なものが「欲」というのだろう。

 「形」にこだわればこだわるほど、「欲」というものに苦しみ、
更には、「欲」というものから出た汚れにまみれた
「災い」というものがよく出ていた。

 この様を見て、なんか、不思議なものを感じた。
14+、というか「爆走蝸牛」は「今現在生きているわたし」の持つ
「いたたまれなさ」というやつを「博多の言葉」でやっていた。
切り口は違うけれど、テアトルハカタ、というところも
こういう演劇をやっていて、自分はここを「入口」にして演劇へと入っていった。

 福岡演劇フェスティバルの「演出家コンペ」の特典として
「14歳の国」という「酒鬼薔薇事件」を意識した戯曲を
再編成した「14+」という作品をやった。

 その中で「いたたまれなさ」というやつを徹底的に研いで、
見手に差し出してしまったらえらく大変なことになった。

 徹底的に研がれた「言葉の刃」によってひどく傷ついた人達がいて、
素直に「こういうことがあってしんどかった、しんどいのにこのお話は堪える」と
いえば、どうってことなかったのに、この状況で使うべきではない言葉を使って
「これでも喰らえ」と福岡の演劇に対して仕返しをした。

 演劇に「のめり込む」ことで仕事や人生を失って、そのもやもやを晴らすべく
自分なりの「演劇道」にのめり込むことでこの失った痛みを忘れて、
というのはよく分かる。
けれども、方法論が違う人間に対して「殺意ある言葉」で易ある言葉を
吐かれても、誰も聞かない、むしろ反発しか産まない。
だから、その人たちから人が離れていった、というのに。

 正直、かわいそうとも思えない。
かわいそうと思ったら、わたしの性根がかわいそうだ。
こんなかわいそうな人間に「死ね」と暗に言葉を投げかけられたら
嫌になる、だから自分は一度前の名前を自分で「殺した」のだ。
正直、辛くて、しんどくて、悲しかった。

 自分にも至らない点は多々あることもわかっているし、
なんとか改善しようとしはいるが、元々の人間が違うから
どうしようもないところはある。
其のところまで私は他者を否定しようとしないのに
その人達は其のところまで否定した、むしろ拒絶した。

 このことに対して、無視することも、ましてや殺すことも出来なかった。
ただのらりくらりと交わしながら、心のなかではどうしたら良いのかわからなかった。

 それでも、毎日仕事に行って、演劇を減らして、心と体を休めて
できることを何とかやりこなしてはいた。
自分なりの「演劇の使い方」を練り上げるためにスクールにも通ったし、
演劇大学で演出助手のまね事をして、その流れで演出家協会に入った。
少しずつ、心をひらいて、仲間ができつつある。

 そんな流れが14+にもあって、韓国演劇との関係性とか
身体言語の方向性、というオプションがついてきて、
なんだかんだあっても、一つ段階を上がっていった。

 正直、演劇をやめよう、と思ったこともあるかもしれない。
けれども、演劇によって助けられている。
そして、たくさんの物や事、人とつながっている。
これを元にして新しい何かを作りつつある。

 あなたも痛みを乗り越えた、わたしも痛みを乗り越えつつある。
ただ、それだけ。
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