ギアver.3.00

「空気」というものをシェアする70分。

 だから、時間を感じさせなかったのだろう。

 きっかけはいつも小さなことから。
柿喰う客の中屋敷さんがとったシーズンの福岡演出家コンペ、
プレゼンテーション審査で少し気になる人を見つけた、というか。
まあ、外国での演劇修行から帰ってきて、どう「演劇」というものを使って
戦っていくか、というか生きていくか、という迷いはあったけれど、
「身体言語」を武器にする、という基本方針ははっきりと持っていた。

 その人のことがものすごく気になって、一度「仕事」を見てみたい、と
思っていたが、なかなかスカウティングの網に引っかからない。
で、ぽんプラザで手にしたギアのチラシを見てみたら。

 「ドール・和田ちさと」。

 おお、この場所を選んだのか。
「身体言語」だけで押し通すエンターテイメントの話は
それとなく聞いていたのだが、まさかここに出ていたなんて。

 で、さらにスケジュールを調べてみると、土曜日メインの出演。
しかし、自分が関西方面に行く用事がなかなか見つからない。
そんなこんなで、演出家協会の総会があり、それだけじゃもったいないから、と
算段しているとちょうどいい塩梅に日程が引っかかる。
その後にもろもろの日程が引っかかり、今に至る。

 大変暑い中を京都三条に着いて、なんとか場所を探し、
座席券と引き換えて(このムーブ、関西的)、涼む場所を探すが
なかなか見つからず、妥協してハコの地下にあるカフェで
お茶、その前に久々に突っかかり。

 そんな事があっても、無事空間の中に入ることが出来て何より。
というか、「ハコに入る」という事自体がもうエンターテイメント。

 ・・・入ってみたら「飛ぶ劇場」という北九州の劇団が
門司の昔、サッポロビール工場があったその場所でやった
「工場S]という演目と同じ空気、というか、空間にお金をかけると
そうなるのか、という空気と作りだった。

 見手も、「エンターテイメント」というものを自然と受け入れていて、
なんか気持ちがいい、と思ったが、ゴニョゴニョ。

 ・・・いや、まじで凄すぎる。
パフォーマーというメインの存在がいて、ブレイクダンス、
パントマイム、ジャグリング、そしてマジック。
おのおのが持つ文脈を侵害することなく、それでいて「演劇的」な
ムーブやマイムも心得ている。

 こういう流れ、やり方でまずは「工場の始業」をひと通りやって、
古いからあちこちガタが来ている。
で、屋根から人気商品「ドール」の箱が落っこちる。
それを拾い上げてなんだかんだやって、1.2.3.と「ドール」が
「人間」になった時の驚き。
ここからあまりにも凄すぎる「超絶技巧」の応酬の始まり始まり。

 ドールが各パフォーマーに「触れた」瞬間、スイッチが入り各々の
技量を見せていく、まずはブレイクダンスで場を一気に暖めて、
パントマイムが熱を保ち、マジックで唸り、最後ジャグリングで
エネルギーがmaxになっていく。
 
 各々のエネルギーを誘発する、というか
挑発するドールのオーラも凄すぎる。
そのオーラがこれまたmaxになるのがあのダンス。
電飾が仕掛けられた衣装がこれまたなんとも言えない。

 これ、「空気」をシェアするエンターテインメントだわ。

 機械や人形が徐々に「人」になっていって、心を通わせるが
運命は残酷、工場そのものがどんどんと壊れていくさまを
凄すぎるくらいの密度を使い、五感に訴えていく。
古くから存在するものや事が衰え、カオスとなり、
ぐっちゃぐちゃにかき回され、怒涛のエネルギーとなって
見手に襲いかかる。

 気がつけば、一つだった世界が二つに分かれて
それぞれが新しい世界へと進みゆく。
「破壊と再生」の物語ではなく、「混沌から新生」へと
進みゆく物語が根っこにあったのだな、と
不思議な安堵感に包まれたカーテンコール。

 これは、この場所でしか出来ない演劇だ。
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ジャンル : 学問・文化・芸術

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