最新旧型機 クロックアップ・サイリックス 「三一四二」

そぎ落とす。

 あらゆるところでひと捻り効いている。
客入れ音からして田谷力三とかの浅草オペラ、というやつだよ。
ここにプロペラ機のような空調音がぐおんぐおん響いて、
気楽な空の旅、というか、物語の旅へと連れて行かれる。

 白ヤギさんと黒ヤギさんのお手紙のお話、
出して、読まずに食べて、をひたすらに繰り返すわけだから
いつまでも本題の用事がわからない。
・・・だったら手紙を出さずに直接会いに行けばいいのだが、
お互いがお互いをどう思っているかで受け取り方が違うのだろう。

 こんなことを考えていると、オクラホマ・ミキサーを使って
社会における「排除」のメカニズムをこれでもか、と見せ、
「排除された」人間が強く見せる「殺意」、殺意を見せると
余計に排除する側が「怖い」という感情を巧みに使って、さらに排除を仕掛ける。

 そうだとしたら「働かざるもの食うべからず」とはいうけれど、
ここでいう「働く」とはそこにある「権力」というものに「服従せよ」ということか。
そうすることが嫌、というか肌に合わないとかなり辛い。

 そうした「居場所のない」人のために「お山様」での修行があるのだろう。
話には聞いたが、ものすごく過酷らしい。
この過酷さが今までからだに染み付いた「良くないもの」をそぎ落とすのだろう。

 修業の「そぎ落とし加減」が花輪和一の「みずほ草紙」という漫画に似てはいる。
この漫画の「修行具合」は「お山様」で一冬こもって、
お山様の声を聞く、という中身でそれはそれはとても不思議なことが
起こり続けるらしい。

 それくらい過酷で、理不尽、これが修行、というものだろう。

 けれど、このお話は「祖母を山に捨てる」という一連の流れが
「修行」という形になっていて、「良くないもの」のそぎ落とし加減が
ものすごく緩やかになっているが、そこには「希望」に代表される
「明るいもの」を排除している。
緩やかだけど、厳しさがチラチラとちらついているけれど。

この塩梅が人生、甘くないけどとにかく生きろ、生きたら何とかなる。
というふうに化かせやがった。
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テーマ : 演劇
ジャンル : 学問・文化・芸術

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