M.M.S.T "Crime and Punishment"

「間違わないように」という祈り、なのかもしれない

 いろんなことが絡まってしまうことはえらくしんどい。
ここにたどり着くまでに、いろいろなことがあった、というか
ありすぎた、とも言うのだろう。

 M.M.S.Tというカンパニーに初めて触れたのがちょうど自分が
演劇のスカウティングを始めた時に始まった「演出家コンペ」だった。
・・・あまりにもあの頃の福岡演劇とは異質のもの、だけれども
高度かつ硬度のある「演劇」に驚いた。
さんざん驚いて次は、と思ったら長い間音沙汰なし。
「消息不明」状態を抜けだしたのは「柿喰う客」からの年賀状。
・・・ドフトエフスキー三部作をなんだかんだする、興味深い。
がだ、最初のやつは奈良の天川という恐ろしいくらいの山奥と
平日の夜、横浜の二つだけ、なんだかなぁと思っていたら
またなんだかんだあって、福岡を拠点に、という話を聞いた。

 自分も自分でエグいことに直面して、今まで作ってきた
ポジションを一度放棄せざるをえない状況になって、
「放棄したよ」と各方面に連絡を入れたらいろいろなところで
状況が自分のあずかり知らない方向へ大きく転がってきた。
本当は「知らぬ、存ぜぬ」を決め込みたかったが。

 そんな状況を背負って、初めて向かう場所だから
少し早めに最寄り駅に向かい、迷う時間がある感じで
ハコを探し、見つけて、中に入る。
・・・奥行きのあるコンクリート打ちっぱなしの空間。
まるで「芸術工場」という趣、楽屋スペースがどうやら上にあるらしく、
準備だ、なんだかんだのミシミシ音がなんとも言えない。

 こんな「無音の音」を感じていると、いつの間にか物語の世界に
入り込んでいたというか、物語の一部として見手も存在している。
そんな空間でプレイヤー4人が「日常」をシンプルにしたムーブ・マイムを
5w1hというものをきちんと込めて「動かしている」からひとつひとつが
美しく、そしてあらゆるものが見えて、聞こえている。

 物語の基本構造はドフトエフスキーの名作「罪と罰」をアレンジして
「憤怒」と「憎悪」をマイルドかつソフトに表現した。
「罪と罰」、というかドフトエフスキー、さらにはロシア文学そのものが
「憤怒」と「憎悪」がごゆく表現されている傾向があって、
それが読み手にとってはしんどいところだったのか、という発見。

 世の中というものはどうも「憤怒」と「憎悪」が
毎日ソフトな雪のようにじわじわと降り積もっているようだ。
その降り積もり具合をうっかり感じ取ってしまったが故の
「狂い」というものが、「欲」というものと重なり、
「狂い」と「欲」に飲み込まれると「金」に追い立てられ、
どうしようもなくなるからまた「強欲」という一つ上の「欲」に
追い立てられてしまうと「抹殺願望」というやつがじわじわと。

 「強欲」を「抹殺」することで魂が救われ、楽になるかと思いきや、
今度は「人を殺した」という事実を知ってしまい、
「殺人罪」という現実を思い知らされ、悶え苦しみ、
悶えに悶え、苦しみに苦しみ抜いた末の救い、また日常に戻るも
「殺人という罪」からの・・・というラストの恐ろしさ。

 これ、野田地図のTheBeeと響きあっているよ。
・・・時代の持つ凄みなのか、と見ながら考える。

 自分がこの演目にたどり着くまでに感じた
「欲」と「強欲」というものが心に存在するから
わたし以外の「他者」が発する「欲」と「強欲」に過剰反応を示す。
過剰反応を表現したのが「憤怒」と「憎悪」という感情であり、
「憤怒」と「憎悪」、「欲」と「強欲」、それぞれが掛け合った
「究極形態」が「犯罪」という形となって皆を不幸にする。

 そうならないように、私達は日々祈るしかない。
「間違わないように」という祈りを朝行い、
夕に「きょうも、間違わなくてよかった」という感謝の祈り。

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